ワールドガイド

プロローグ

夜空の輝き、予兆―――

人類はただただ続く平和の中で生き、荒野を、山を開拓する日々を送っていた。

異変は突如として現れた。
満天の星の瞬きよりも、まばゆい光の糸が地上へ次々と落下していく。

何かが――今まで存在しなかった何かが落ちてくる。

この世界の1年のうち数度、発生するこの現象は「星降る夜」と呼ばれ、
その幻想的な美しさから、吉兆として歓迎されるようになる。

――幾度目かの星降る夜を迎えた日。
落下した星を拾わんとした研究者がいた。

拾い上げられたものは、この世界には存在しえない鉱石であった。

人間同士の争い、そして終結―――

フラグメント鉱石。それは、世界にただよう超自然エネルギーである
通称「マナ」を集約させ保存できる代物で
この発見によって錬金術が急速に発展し、人々の生活水準も向上した。
しかしそれは多くの国々による軍事衝突をも生み出す事となる。

戦火は各地を荒廃させたが、軍事介入の中心となっていた
ディナリウム帝国内のクーデター成功によって戦争は縮小し、終結した。

各国のわだかまりは未だに残るものの、平和になった世では
かつての戦争の火種――フラグメント鉱石の採掘によって賑わっていた。

需要の高まりとともにフラグメントを求めて未開の森や鉱山を切り開かんと
する商人が続々と現れ、同時に一攫千金を狙う労働者も集まっていった。

価値あるものを求めて殺到する様子はアルケミア・ラッシュと呼ばれ
その言葉は熱狂をもって歓迎され、さらなる採掘者を集めていった。

不可解な、獣の凶暴化―――

異変は静かに訪れた。
アルケミア・ラッシュに沸く労働者たちの間
で奇妙な噂が流れ始める。
「人を食う化け物を見た」最初に流れたのは、どこにでもあるような
話題のために誰もが思いつくような、怪異の目撃談であった。

それが現実のものであると知るのにそれほど時間はかからなかった。
一人また一人と、労働者が殺されていくのだ。いや、労働者だけではない
投資家も老人も女性も子供も、一切の区別なく犠牲者は増えていく。

ここに人類の新たな敵が誕生した。いつも見かけていた動物たちが
本来持つことのない怪力と獰猛さを手に入れて襲い掛かってくるのだ。
もはや自然の中に安全は無く、力弱き者は恐怖に怯えるほかない。

そしていつしか、動物ですらない異形までも目撃されるようになる。

歩く、戦う、稼ぐ、それが冒険者―――

獣の凶暴化は多くの人間の行動を阻害する結果となった。
しかし人の営みは止まることができない。
誰かが事を成さねば、ほかの誰かの生活が困窮してしまう。

商人をはじめ、長距離の移動を要する者たちは
身の安全を確保するため腕の立つ用心棒を雇うようになり、
戦闘を得意とする者たちへの求人が増加することとなった。

戦争が終結してくすぶっていた軍人や、夢を追う冒険者、
腕自慢の荒くれ者たちが我こそはと名乗りを上げる。
やがて仕事を斡旋する組織、敵を研究する組織までもが作られていく。

奇妙なことに、アルケミア・ラッシュは終幕を迎えなかった。
新たな雇用が生まれ、各地の都市はますます活気づく事となった。

魔法を生み出した魔工の都市―――

かつて戦火の中心であった国の都。ディナリウム帝都。
ここはどんな人間も拒みはしない、素性のわからぬ旅人でも
腹を空かせた行き倒れでも、追い出されたりはしない。
この都市の住人になるのであれば話は変わってくるのだが――さて

各所には工房、教会、商店、宿場などがあり生活には不自由しない。
もちろん手持ちがなければつらいだろう、仕事の斡旋所もある。
建物の外にまで冒険者が集い活気にあふれている。

ひと際目を引くのは魔工技師の工房だ。
彼らは魔法を設計し、誰もが使いやすい効果を世に生み出す。
フラグメント鉱石はエネルギーを蓄積しているだけに過ぎない。
それを「魔法として行使」するためには設計と加工が必要となる。

単純に発動させる魔法だけでなく、武具へ応用「ウェポナイズ」も広がり始めている。
冒険者であれば、いずれ彼らの世話になるだろう。

これは終わりに向かうための物語―――

冒険者はどのようにこの世界を渡り歩くのだろうか。
スレイブと共に各地を冒険し、暴走する獣を倒し、
多くの報酬を手に入れ、のんびりと過ごすのだろうか。
やり忘れたことはないだろうか。
見落とした場所は、言葉は、ないだろうか?
――繁栄か、滅亡か。
遥か先の結果は、今この世界にかかっている。

――ああ、またひとり新たな主人公がこの都市へ流れ着いたようだ。


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